なおこ一緒お勉強
硝酸性窒素
「水」と「野菜」が危ない!
 「緑が多ければ自然である」と考えられていますが、緑を自然のままに生い茂らせ、枯れるままにしていた昔は、それで良かったのです。
 しかし、人間が自然の中から役立つものだけを身勝手に拾い出してきたことで状況は変わりました。今や緑を人工的に増やすことによって自然のバランスが崩れ、自然浄化されないままの「硝酸性窒素」が残り、「水と野菜が危ない」という、とんでもない問題が起こっています。
@硝酸性窒素とは
A硝酸性窒素が
 健康に及ぼす影響
Bメトヘモグロビン血症
C最強の発癌物質
 「ニトロソアミン」とは
D窒素酸化物は
 どのようにして出来るか
E窒素肥料による影響
F大気中の窒素酸化物
 による影響
G硝酸性窒素が
 体内に入る経路

@硝酸性窒素とは

 「硝酸性窒素」って、どんなものですか?
 「NOx(ノックス)」って、聞いたことがあるだろう。
 「NOx」とは「窒素酸化物」のことで、その窒素分を「硝酸性窒素」と言うんだ。N が窒素、O が酸素、x は酸素の数(3, 2, 1)を表します。
 NO3 を硝酸、NO2 を亜硝酸、NO を一酸化窒素と言い、酸素の数が少ない方が不安定で、毒性が強まります。
 「硝酸性窒素」が廃ガス問題の「NOx(ノックス)」だったなんて、驚きました。だけど、窒素と酸素は空気の成分でしょう。どうして毒性があるのですか?
 確かに空気の成分は、約80%が窒素で約20%が酸素です。そして、窒素自体に毒性はありません。しかし、窒素が窒素酸化物になると問題になります。

A硝酸性窒素が健康に及ぼす影響

 硝酸性窒素は、私たちの身体にどんな影響を及ぼしますか?
 現在、明らかにされている硝酸性窒素の「人体への影響」は、次の2つです。
 1つは、体内で血液中のヘモグロビンと結合して酸素欠乏を起こす。いわゆる「メトヘモグロビン血症」です。これは、胃酸の分泌が少ない乳幼児に多くみられ、「ブルーベビー症」とも呼ばれています。
 もう1つは、体内で亜硝酸と二級アミンが反応して、「ニトロソアミン」という最強の発癌物質ができることです。

Bメトヘモグロビン血症

 「ヘモグロビン」と「メトヘモグロビン」について、教えてください。
 「ヘモグロビン」は、血液中の赤血球に含まれている血色素で、酸素を運ぶ役割を果たしています。肺で酸素と結合し、全身の細胞へ酸素を届けているのです。
 ところが、血液中に亜硝酸があると、ヘモグロビンは、この亜硝酸と結合してしまいます。これが「メトヘモグロビン」です。
 ヘモグロビンが亜硝酸と結合して「メトヘモグロビン」になると、酸素と結合できず、酸素運搬の役割を果たさなくなってしまいます。
 亜硝酸と結合したままになって、酸素を運べなくなってしまうのが「メトヘモグロビン」なのね。それじゃ、メトヘモグロビンの量が増えると大変ですね。
 ヘモグロビンがメトヘモグロビンになって酸素を運ばなくなると、細胞が窒息します。これが一番恐ろしいことで、メトヘモグロビンの量によっては、瞬時に命を絶つこともあります。
 「ブルーベビー症」というのを知っているかい。硝酸性窒素が入った水でミルクを作って乳児に与えていると、メトヘモグロビンが多い子どもになる。症状で一番分かるのは唇が青くなることです。酸素が充分に運搬されないので、チアノーゼ(青色症。血液中の酸素が欠乏して皮膚や粘膜が暗紫色になる)の状態になります。
 乳幼児に多く見られるのですね。どうしてですか?
 赤ん坊は胃酸の分泌が少ないので、胃の中で硝酸性窒素が亜硝酸に変わりやすいからです。
 米国で赤ん坊が20数人死亡した「ブルーベビー事件」は、野菜が原因でした。裏ごししたホウレンソウを離乳食として赤ん坊に食べさせたところ、真っ青になり30分もたたず死んでしまったのです。この事件を機に、欧米では野菜の硝酸性窒素の残留濃度基準を3000ppm未満と定めました。

C最強の発癌物質「ニトロソアミン」とは

 「ニトロソアミン」って、どんなものですか?
 最強の発癌物質と言われる「ニトロソアミン」は、亜硝酸と二級アミンが反応してできる物質で、私たちの身の回りにもたくさん存在します。食べ物の中にもあるし、化粧品やビールの中にもごく微量だが見つかります。また、タバコの中にはたくさん含まれています。
 しかし、それより重要な問題は、体内で「ニトロソアミン」が作られることです。
 えっ! 体内で発癌物質が作られるのですか?
 ニトロソアミンの材料となる亜硝酸は、野菜に含まれています。漬物、それも一夜漬けのような浅漬に多く含まれている。それは野菜に含まれる硝酸が細菌によって還元され亜硝酸になるためです。
 ところが、食物から摂る亜硝酸を制限しても余り意味がありません。野菜の他にも、硝酸性窒素を含んだ食品がたくさんあって、それらに含まれる硝酸が口の中に住む細菌によって還元されて亜硝酸になるからです。その量は食物から採る量よりも多いと言われます。
 もう1つの材料、二級アミンも食物の中にたくさんあります。特に、魚の肉や卵に多く含まれています。
 この2つの物質が反応するとニトロソアミンが出来ますが、この反応は酵素を必要とせず、pH3程度の酸性の条件さえあればよいのです。都合の悪いことに、胃液の酸度はニトロソアミンを作るのに”打ってつけ”の条件なのです。
 胃の中で作られるのでは、防ぐことは出来ないのですか?
 自然界は実にうまく出来ていて、この2つの物質の反応を止めてしまうものがあります。それは、ビタミンCです。ビタミンCがあるところでは、ニトロソアミンは作られないんだ。
 亜硝酸も二級アミンも個々には発癌性はなく、2つが反応しない限り発癌の心配はない。だから、ビタミンCがたっぷりで、かつ、硝酸性窒素の少ない野菜を選ぶことが大切です。

D窒素酸化物は、どのようにして出来るか

 窒素酸化物は、どのようにして出来るのですか?
 窒素は、硝酸や亜硝酸になりながら自然界を循環しています。
 アンモニア(NH3)は、硝化細菌によって亜硝酸(NO2)に変化(硝化)し、亜硝酸はニトロバクターによって硝酸(NO3)に変化(硝化)します。また、大気中の窒素は、空中放電(稲妻など)によって酸化され硝酸になります。
 逆に、硝酸が分解していくと酸素がとれて、代わりに水素と結合してアンモニアに戻り、気化して空気中に抜けていきます。
 また、植物は硝酸性窒素を有機窒素化合物(アミノ酸・タンパク質)に同化して生長するのです。
 窒素は自然界で形態を変えながら循環していて、その途中が「硝酸性窒素」ってわけね。そして植物は、硝酸性窒素を養分にして、生長するんですね。
 詳しくは、「窒素と窒素循環」をご覧下さい
 このような窒素の循環に対して、人間は窒素を人工的に固定して(循環しないようして)、肥料として使っているのです。

E窒素肥料による影響

 肥料として窒素酸化物を使うと、どのようなことになりますか?
 動物には有害な硝酸塩が、植物には必要なのです。農作物は硝酸塩がたくさんあった方が、青々として草丈が高くなります。
 人は農作物を大量に収穫しようとして、硝酸塩(肥料)を大量に撒きますが、結果として収穫の際、余ったものが地面に残ります。例えば、稲を刈ったとしても、茎などは食べないので捨ててしまいます。それが地面に還ってどんどん溜まると汚染ということになるのです。
 最近では、旬を外れた野菜を栽培するのに大量に肥料が使われているそうですが、問題はないのでしょうか? 
 適量な硝酸塩(肥料)は有機窒素化合物(アミノ酸・タンパク質)に同化されてしまいますが、肥料を過剰に使用すると、植物が使い切れない分が野菜に残ってしまい、危険な野菜になります。

F大気中の窒素酸化物による影響

 大気中の窒素酸化物は、どのように影響しますか?
 窒素酸化物は、人工的に自動車の廃棄ガスや工場の煙突から出てくるものもありますが、自然の太陽光線によっても作られます。簡単に説明すると、強い紫外線が、地上に届くまでの間に大気中の窒素と光化学反応を起こして作られるのです。
 農家には「雷の多い年は豊作」という言い伝えがありますが、これは稲妻が光化学反応と同じように作用して、空気中にある窒素から窒素酸化物ができ、肥料として作用するためです。
 自然に作られる以外に、現在では自動車の廃棄ガスや工場の煙突から大量の窒素酸化物が大気中にばら撒かれていることになりますが、これによって、どのようなことが起こりますか?
 硝酸は強酸性だから、これが溶け込んだ雨は「酸性雨」です。適量の硝酸性窒素は植物にとっては良い肥料になりますが、酸性雨ともなれば、植物は枯れてしまいます。

G硝酸性窒素が体内に入る経路

 硝酸性窒素は、どのようにして私たちの体内に入るのですか?
 2つのルートが考えられますね。
 1つは、野菜を食べることにより体内に入ります。肥料として大量に使われた窒素酸化物がそのまま野菜に残留しているからです。
 欧米では、硝酸性窒素の残留濃度基準を3000ppm未満と定めていますが、日本は硝酸性窒素の残留濃度基準を定めていないのです。だから、2万ppmを越えるような危険な野菜が、百貨店やスーパーで平気で売られています。
 もう1つは、土壌に染み込んだ硝酸性窒素が地下水などに浸透し、飲料水として体内に入ります。主な汚染源は、窒素を含む化学肥料、畜産廃棄物、生活排水の3つだと言われています。
 水道水質基準では、硝酸性及び亜硝酸性窒素の基準値を10ppm以下としています。さらに平成10年、亜硝酸性窒素を0.05ppm以下とする監視項目が追加されています。
 ところが、地下水を水源にしている浄水場で、この基準を超えていることが多く報告されています。 
 「水と野菜」といえば、私たちにとって掛け替えのないものです。どのようにすれば、硝酸性窒素を除去した安全な「水と野菜」が手に入るのか。「硝酸性窒素を除去する方法」をご覧下さい。

ほっと一息!  皆さん! いかがでしたか。

質問やメールをたくさん送ってね。お待ちしています。

なおこ

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